伊集院光さん「ラジオの動かす力は圧倒的」

TBSラジオ「深夜の馬鹿力」(毎週月曜深夜1〜3時)が抜群の人気を誇り、「ラジオの帝王」とも称されるタレントの伊集院光さん(48)が、11日から同局で始まる「伊集院光とらじおと」(月〜木曜、午前8時半〜11時)で初めて朝の帯番組に進出する。深夜ラジオは縦横無尽なトークで笑わせ、テレビは知的なイメージでクイズ番組でも活躍する伊集院さん。インタビューの話題は、新番組に向けた意気込みだけでなく、「オールドメディア」のラジオがチャンスを迎えているという実感、発言による「炎上」との接し方など多岐にわたった。

「お化け番組」の後はハードルが低い?

 −−11日から新番組が始まります。心境は。

 伊集院さん 今は割と「早く始まれ」という気持ちになっていますね(インタビューは3月24日)。子どものころ、学校での予防注射で、最初に並ぶのがいいのか、後で並ぶのがいいのか、という場面に近いかもしれません。ドキドキする時間が長いよりも、まずやってみて修正していく方がいいので、始めてしまいたいです。

 −−これまでその時間帯は「大沢悠里のゆうゆうワイド」。30年間にわたって人気を維持し続けた「お化け番組」でした。後任を引き受けるということで重圧もあったのではないですか。

 伊集院さん 打診を受けてから、ずっと重圧がなかったわけではないです。でも「大沢悠里さんの後は、むしろハードルが低いんじゃないか」と思うことにしました。あれだけ偉大な番組の後は、誰がやっても勝てないですから。

 僕が生まれた東京都荒川区は町工場が多くあります。驚異的なのは、機械の振動の影響を受けずに悠里さんの番組を聞くために、ガムテープやボンドで周波数のつまみを固めた工場が何軒もあるということです。「どうせ大沢悠里が出るTBSしか聞かないから」って(笑い)。その固定を外すまでに1、2カ月はかかると思うので、それまでは習慣として聞いてもらえるんじゃないかと思います。悠里さんにはかなわないけど、それまでに僕らなりに面白いことをやっていくのが最初のチャンスであり、使命だと思います。

 −−どのような番組にしたいと考えていますか。

 伊集院さん 具体的にはこれから固めていくのですが、番組名「伊集院光とらじおと」の「と」の部分を大事にしたい。「伊集院光の〜」という番組名ではなく、「と」にしたのは、つい僕が出しゃばりがちだったのを、この番組では皆さんにいろいろと教えてもらいたいということですね。

 深夜ラジオとは違う層の方も聞くので、そのリスナーを意識したいなと思っています。たとえば、僕は子どもがいないので、子育ては空想でしか話せません。番組のアシスタントやリポーターのオーディションも全部、立ち会ったのですが、子育ての経験がある方の声はぜひ入れたいなと思って何人か入ってもらいました。あとは時間帯も考えて、健康に関する企画は考えています。ご覧の通り、僕には分かりやすい不健康な部分があるので(笑い)。

 4月からは深夜ラジオに加えて、月曜から木曜までの朝の番組をやるので「体に気をつけて」とよく声を掛けてもらうのですが、たぶん始まった方が体調は良くなる気がします。カミさんなんか、「早く始まれ」って思っていると思いますよ。

 −−1995年10月に始まった「深夜の馬鹿力」では、テレビでの温和で知的なイメージとはかけ離れたブラックな笑いも多いです。

 伊集院さん いつも「こうすれば面白い」ということは考えているので、違いはあまり意識してないですね。今までも「深夜ラジオだったらこうするけど、昼間の番組ならこうする」という具合に考えていたアイデアが結構、たまっていたんです。昨秋にBS12トゥエルビで放送されたテレビ番組「伊集院光のてれび」で、主演・企画・構成・演出・編集・ロケハンのすべてを自分で責任を持ってやってみたので、テレビの企画も考えていますし。

 企画を考えるのは趣味みたいなもので、「自分が女性アイドルだったら、こういうことする」とか、家の近所の床屋の改善案とか、頼まれてもないのに考えています。床屋の改善案は首から下を覆う布の胸の辺りだけビニールにして、スマートフォン(スマホ)をチェックできるようにしたら便利なんじゃないかってものです。これ、本当にいい案だと思うんですが。

続きを読む(毎日新聞)