アナウンススクールに通う必要は?時期は?

こんな質問を現役・元局アナに聞いても、答えは人それぞれ。

ある北海道の女子アナは「全く通わないでもなれましたよ~」ある福岡の男性アナは「大学でアナウンス研究会に所属して似たようなことをやっていたので、お金ももったいないし通わなかった」四国の局にいた女子アナは「通ったほうがいい。しかも早ければ早いほどいいです!」

結論から言うと、通っても通わなくても、「アナウンサーになれる人はなれる」のです。

ただもし通うのならば、「就職活動のために」行くのではなく、将来アナウンサーになる準備として、「アナウンサーになるために必要なことを知るために」、早めに通っておいた方がいいかもしれません。

発音・発声練習の仕方や、フリートークやリポート、実況の仕方などを早めに学んでおけば、それだけ自分でアナウンス技術を習得する期間を長く取れるわけですから。

逆に就職活動が目前に迫っている人は、正直アナウンス技術は即効性のあるものではないので、アナウンスを勉強しにいくというよりは、アナウンサー試験ではどんな試験が行われるのかを体感したりエントリーシートのコツを教わったり、独特の試験に対応するという目線でスクールを選んで通った方がいいと思います。

アナウンススクールに通うメリットとは何でしょう?

①最低限のアナウンス技術を身につけられる
②アナウンサーに必要なことが漠然とわかってくることで対策を立てやすい
③同じ志を持つ人間と切磋琢磨できる
④就職試験の情報をもらえやすいなどがあげられます

逆に採用する放送局の立場からすると、

<東京・大阪・名古屋・札幌・福岡・仙台・広島など>

・・・入社後、自社またはキー局で研修を行うため、アナウンス技術の完成度はそれほど求めていない。ただ原稿読みやカメラテストに関して、経験したことがあるかどうかで試験では差がつく場合がある。

<それ以外のローカル局>

・・・即戦力が求められる。

つまり、ローカル局でもいい。とにかくアナウンサーになりたいという人は、早い段階から通っておいたほうがいいかもしれません。

しかしアナウンス試験で求められるのは、技術だけではないということはしっかり頭に入れておいてください。アナウンス技術を高めつつ、色々な経験をして自分を磨いていくことが最も大切です。

アナウンススクール選びのポイント

アナウンススクールは2つに大別されます。

①放送局系スクール

放送局の関連会社などが運営し、その局に在籍するアナウンサーや元アナウンサーが講師として招かれます。

普段テレビ・ラジオに出演しているアナウンサーが実際に教えてくれるのが一番のウリです。キー局のアナウンサーはやはり話す・読む技術に加え、アナウンサーに必要な発想・即興・対人の妙などのスキルは高いものを持っているので、話を聞いているだけでも参考になります。また局のスタジオを使った実習やCS,BSの番組出演など、プロの現場を体験できるのも特徴です。受講生も数が多い分、刺激を非常に受けます。

しかし講師が毎回違うなど、その人の課題にあった継続的な教え方ができなかったり、受講生が多すぎて2時間の授業で講師の前での発表が1回だけ、アドバイスも1,2分だけなどデメリットもあります。またキー局のアナウンサというのは、実はアナウンサー試験(ローカル局の試験)を数多くこなしていないため、なかなか通過できない人へのメンタル的なことや地方局試験のコツなどは本質的には理解していないところがあります。

そして講師をしているキー局のアナウンサーに対して行ったアナなる独自取材では、「本業はやはり自分の担当番組に出演すること」で、スクールで教えるのはあくまで「片手間」という話もよく聞きます。また通っている人には申し訳ないお話ですが、「一部の人(局が目をつけている人)以外はお客さんだから」という言葉もキー局アナウンサーから聞かれました。

2000年代から放送局本体の景気が悪くなり、いわば副業のひとつとしてのスクール経営という側面も否定できません。お金を持っている学生しか通えないレベルに達しているキー局系スクールの経営には疑問を投げかけざるを得なくなってきました。

それから就職に有利とも噂されますが、良くて書類審査を通過させてもらえる程度で、スクール内で高評価でない限り関係ありません。むしろ低評価だった場合は、本試験自体門前払いだったという受講者の声も取材をする中で聞かれました。一方でキー局は厳しいけれど、アナウンサーとして素質のありそうな人には、地方の系列局を紹介されたりする場合もあります。

②独立系スクール

キー局や地方局を引退したり、フリーになったアナウンサーが中心となって教えているスクールがほとんどです。カリキュラム的には各スクールとも大差はありませんが、講師の経歴や年齢によって、アナウンスの教え方に差が出てきます。

一般に「局アナ」と呼ばれる、地方局を含めた地上波の放送局に社員として勤務していた経験のあるアナウンサーは、就職試験の難しさや合格のポイントも知っているのはもちろん、研修もしっかり受け、現場でも様々な経験をしていることから、教える際の引き出しも豊富です。

しかしNHKの地方局キャスターや局アナを経験せずに放送の世界に飛び込んだしゃべり手は、しゃべりを教えることはできても、局アナに求められるもの全てを理解して教えられているかどうかは疑問です。 また、年配の元アナウンサーが講師を務めるスクールでは、現在のアナウンスにそぐわない時代遅れのものを教えているケースもあります。現役で活躍しているアナウンサーがいるスクールほど、「今」のアナウンスにそった授業をしてくれます。

やっていることはどこも大差はない

苦労の末、局アナに晴れてなった人の話を聞くと、「3,4か所のアナウンススクールに通っていた」というケースがよくあります。もちろんたくさんのスクールに通ってもアナウンサーになれなかった人もいるでしょうが、なった人の話では、「結局どこのスクールもやっていることは一緒だった」ということです。

どうしても就活がうまくいかなかったりすると、もっと自分に合ったスクールがあるのではないかなど、スクールを転々とする人がいるのですが、カリキュラムや教えること自体は大差ありません。(教える人の差はありますが・・)

「基礎科」とよばれるアナウンサーとしての練習方法や基礎を教えてくれるコースに入り、3ヶ月ほどみっちりとやれば、あとは基礎の反復練習と実践訓練あるのみです。

合格者の数についても、冷静に考えてみれば、大手の方が受講生の数が圧倒的に多いのと短期間の講座の受講者も数に含んでいるので、当然合格する人数も多いです。アナウンサー「合格率」をとってみれば、実は独立系スクールの方が高いかもしれません(もちろんキー局合格率はそうではないですが)。本気で「アナウンサー」という仕事に就きたいと考える人にとっては、放送局系スクールも独立系スクールも実は大差はありません。

スクールに行ったからアナウンサーになれるのではありません。大事なのは、そこで学んだことをもとに、アナウンサーとしての資質を高めていくことです。