「砂をかむよう」5割以上が誤った意味で使用 文化庁調査

文化庁の二〇一八年度国語に関する世論調査で、「ぶぜん」「砂をかむよう」との言葉を、半分以上の人が本来とは違う意味でとらえていたことが分かった。元々の意味で理解している人は、ともに三割前後にとどまった。

調査は今年二~三月に実施。全国の千九百六十人が回答した。「ぶぜん」の意味を聞いたところ、本来の意味通り「失望してぼんやりする様子」と答えたのは28・1%。「腹を立てている様子」とした人は56・7%だった。ただ、同じ設問をした〇七年度調査に比べ「失望してぼんやり」とした人は11ポイント増え「腹を立てる」は14ポイント減った。

「砂をかむよう」に関しては、32・1%が本来の意味である「無味乾燥でつまらない様子」とした。56・9%は「悔しくてたまらない様子」とした。

「ぶぜん」。スポーツで作戦が失敗に終わり、テレビカメラが監督の怒気を含む表情を映し出した時に、実況アナが「○○監督ぶぜんとした表情です!」など「腹を立てている様子」という意味で「ぶぜん」を使うことがある。本来の意味とは異なる使い方だが、半数以上がそう思っているのもまた事実。逆に、監督が残念そうにうなだれている姿をカメラが映し出した時に「ぶぜんとした姿です」と正しく使うと視聴者に違和感を持たせることになるかもしれない。
ただ〇七年度調査に比べ「失望してぼんやり」とした人は11ポイント増え「腹を立てる」が14ポイント減ったというのは、すごく興味深いデータで、私も含め〇七年度調査をきっかけに本来の意味を知った人も増えてきたのかなと感じている。

(アナなるドットコム編集部)

「御の字」は49・9%が「一応、納得できる」との意味だと答え、元々の意味である「大いにありがたい」の36・6%を上回った。

また、「天地神明に誓って」を巡り、「天地天命に誓って」と本来と違う言い方をした人は53・7%。「論陣を張る」を「論戦を張る」としたのは44・0%、「舌の根の乾かぬうちに」を「舌の先の乾かぬうちに」としたのも24・4%いた。

日常会話で、文語調の言い回しを使うかどうかも調べた。「言わずもがな」は25・6%、「行きつ戻りつ」は22・8%、「えも言われぬ」は14・1%が聞いたことがないとした。

国語に関して国に期待することを聞いたところ、「家庭や社会で正しい言葉遣いが行われるようにする」が39・5%でトップ。

文化庁は、会員制交流サイト(SNS)の普及で誰もが情報発信できる時代となり、言葉を誤れば「炎上」につながりかねないため、言葉の意味の正誤を考えざるを得ない場面が増えていると分析。その上で、担当者は「言葉は変化していく。おおらかに受け止めてほしい。コミュニケーションにそごが生じないよう、こんな意味でとらえる人もいると、調査結果を活用してもらえれば」と話している。

<国語に関する世論調査> 国語への意識や理解の現状を調べて施策の参考にするため、文化庁が1995年度から毎年実施している。2018年度調査は無作為抽出した全国の16歳以上の男女3590人に面接方式で実施。国語や言葉への関心や、言葉や漢字の使い方、読書傾向などを聞いている。例年、語句や慣用句の意味の受け取り方を測る設問もある。

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