食レポで立体的な表現力を身につける

こんにちは、宮崎瑠依です。
最近は、料理番組に限らず旅番組や情報番組、バラエティ番組まで、あらゆるジャンルで「味」を伝えることが、番組を魅力的にする大きな要素になっています。いわゆる「食レポ」です。食レポはとても難しく、経験豊富なアナウンサーでも食レポを苦手とする人は少なくありません。どうしたらテレビを観ている人に味が伝わるか一緒に考えてみましょう。
宮崎瑠依
東京都出身。日本テレビ系列「スッキリ」や「ZIP!」などの情報番組のリポーター経験
もさることながら、「野球好きニュース」「Jリーグタイム」などのスポーツ番組のキャスター経験も豊富で、毎年、プロ野球の各賞を発表するNPB AWARDSではMCを務める。

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味の表現は難関

 当たり前ですが、画面を通しても味や香りは伝わりません。なので、味や香りを想像してもらえるように映像とレポートで伝える必要があります。ただ、味の表現は難関です。私の実感として、“美味しいものほど表現が難しい”ものです。

美味しいものは「美味しい!」これが一番正直な感想なんですよね。でも、それでは肝心の「味」が全く伝わりません。テレビの前で見ている人は「うわー美味しそう」と観ていることでしょう。「美味しい」という率直な感想も決して悪いわけではありませんが、それと共にどんな香りでどんな味がするのか、食べた時にどんな食感なのか、もっと具体的に伝えなくてはなりません。

五感をフルに使う

私は食レポの際、テレビを観ている人の「五感」を意識した表現を心がけています。まず「視覚」。見た目の情報です。大きさや色、形、艶などを指します。次に「聴覚」。聞こえる音の情報です。例えば、鉄板に乗って運ばれてくるハンバーグならばジュージューとお肉が焼ける音がするでしょう。他にも噛んだ時どんな音がするのかなど食べているときの“音”も実は色々あります。そして「触覚」。手にしたときの感覚です。どんな重さでどんな手触りなのか。また食レポにおいては歯触り、舌触り、口溶けなどもあります。そして「嗅覚」。香りです。嗅いだときの香りの他にも、口の中から鼻腔に抜ける香りなどもあります。

続いて肝心の「味覚」。率直な味の感覚です。甘いのか、辛いのか、苦いのか。他にも酸っぱい、しょっぱい、渋い・・・味覚の表現もたくさんありますよね。

このように五感を研ぎ澄ますことで「美味しい」の一言で済んでしまう味の表現が立体的な表現になり、テレビを観ている人が思わず「食べたい!」と思うようなレポートに一歩近づけるはずです。

数字や分かりやすい例えを用いて伝える

具体的な数字を使ったり、誰もが分かるものに例えてみることも分かりやすいレポートには欠かせません。

「開店前から行列ができていた」ではなく「開店前から30人以上の人が並んでいた。」のほうが、行列を想像しやすいですし、「わー人気のお店なんだ!」ということがより一層伝わりますよね。

他にも「ピンポン球くらいの大きさの実」や「赤ちゃんの頬っぺたのようにやわらかくてモチモチの大福」など誰もが分かるものを引き合いに出すのも分かりやすいでしょう。

「食レポ日記」をつけてトレーニング

食レポも練習が大事です。家で食べるごはんやおやつで食レポの練習をしてみましょう。その際は表現力を養うためにも五感すべてに触れた表現を意識してみてください。最初は紙に書いてみるのもレポートの語彙力を高める良い練習になるので「食レポ日記」をつけることをおすすめします。日記をつけると自分の表現の傾向やクセが見えてきます。いつも切り口が一緒だなと自分で気づくことができたら、違った表現にトライしてみましょう。

五感を意識して色んな角度から表現できるようになったら、次は声に出してレポートしてみましょう。

“書く”と“話す”とでは全然違います。どんな表情で話すのか。表情とレポートが噛み合ってるか・・・レポートしながら美味しいものを美味しく食べるというのは想像以上に難しいものです。

鏡を見ながら食べて練習をしたり、スマホで撮影してみるのも良い練習法です。ぜひトライしてみてください。
食リポで何より一番大事なのは、“食べる姿がきれいであること”でしょう。食べ方が汚い人に美味しいと言われても説得力がありませんよね。

また、ラーメンは音をたててすするからこそ美味しそうに見えますし、ハンバーガーは思い切りかぶりついた方が美味しそうに見えます。それぞれの食べ物に適した食べ方があり、その上できれいに食べることがテレビに映る仕事には求められます。食事のマナーを今一度見直すことも大事かもしれません。

食リポで何より一番大事なのは、“食べる姿がきれいであること”でしょう。食べ方が汚い人に美味しいと言われても説得力がありませんよね。

また、ラーメンは音をたててすするからこそ美味しそうに見えますし、ハンバーガーは思い切りかぶりついた方が美味しそうに見えます。それぞれの食べ物に適した食べ方があり、その上できれいに食べることがテレビに映る仕事には求められます。食事のマナーを今一度見直すことも大事かもしれません。


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