ESに書くもの、面接でしゃべるもの、エントリー動画用に撮影するもの・・
TBSVoiceの授業やカウンセリングで生徒さんの自己PRを数多く見ていますが、あらためて最近思うことを2点書こうと思います。
①「私の強みは〇〇です」という出だし
「私の強み(長所)は○○できるところです」から始まるPRを良く目にします。
○○に入るのは、<コツコツと努力>、<何にでもチャレンジ>、<誰とでも明るく話が>、<最後まで諦めず粘りを発揮>、など。そして、その後にそれを裏付けるエピソードを紹介するパターン。
言う(書く)側としては、まず自分のアピールポイントを明確に提示しようという意図だと思いますが、これはデメリットがあるんです。
それは、「自分を標準化・一般化して相手に印象付けてしまう」ということです。
あなたが一番時間をかけて考え、練り上げるのは、その後に紹介するエピソードの部分だと思います。あなたならではの経験談で、頑張った(今頑張っている)こと、乗り越えたことなどを知ってもらうわけですね。
ところが、どんなに上手く表現できるエピソードを用意していたとしても、その前に上記のような画一的なコメントをすると、その瞬間、相手には、一般化された「どこにでもいる人」というあなたのイメージが出来上がってしまうのです。
あなたはオリジナリティを印象付けたいのに。
(これは、エピソード紹介のあとに「~このように私は○○できる長所があります」とまとめてしまった場合も同じです。)
大事なのはあなたのエピソードです。それを上手く紹介できれば「どんな人なのか」は伝わります。ですから、タイトル的なまとめを付けなくても良いのです。付けずに具体的な話をした方が良いというケースの方が圧倒的に多いと感じています。
②「勲章」よりもストーリーが大事
「多くの受験生の中で目立つPRをするには、やはり『際立った経験』を語れなければいけないでしょうか」と良く聞かれます。
○○の大会・コンテストで優勝した、〇賞を受賞した、△△のメンバーだ、珍しい資格を持っている、誰も行かないような所に行った、世界何十か国を旅した、などなど。
こういうものをここでは「勲章」と呼ぶことにしましょう。
答えから言うと、自己PRにおいて「勲章」自体にはほとんど価値はありません。
重要なのは、その勲章にまつわるあなたのストーリーです。
例えば、あなたが宇宙に行ったことがあるとしましょう。
宇宙に行った。絶対誰にも負けない経験ですね。
でも、それが「たまたま懸賞に当たって得た」宇宙旅行だったら?
自己PRとして語れることはあまりありません。ストーリーが弱いのです。
これが応募制で、どうしても宇宙に行きたくて数々の試験を突破し、1億の倍率を勝ち抜いた結果、というなら話は別です。でもその場合でも、会社側が聞きたいのは宇宙旅行の話ではなく、それを勝ち取る過程でのドラマ、エピソードでしょう。
採用する側は、あなたが目的のためにどんな努力をする人なのか、の方に興味があるのです。
そしてもちろん、アナウンサー試験であれば、「上手に話す」ことができなければどんな稀有な経験であっても有利に働きません。たわいもない失敗談を面白く話した人に負けてしまいます。
就活において、珍しい経験をしているかどうか、というのはその程度のものです。
「自分には特筆すべき経験がない」と不安に思う必要はありません。
それよりも、
自分はどんなことに熱くなるのか、心を動かされるのか、何が好きなのか、ということを日常のエピソードから数多く語れるように準備してください。
日常の中にこそ、あなたの人となりを表現するストーリーが埋まっているのです。
文・アナウンススクール TBS Voice
http://www.tbs.co.jp/anatsu/school/
Follow @schoolTBS
<アドバンスクラス>
基礎を勉強済みの方が対象、アナウンサー受験に向けての実践的なレッスン。原稿読み、自己PR動画練習、テーマフリートーク、模擬面接などを少人数制で行います。 詳しくはこちら>>>