アナウンサーは司会者の域を超えて演出家の域に達しているかもしれない

過去の紅白歌合戦を語る中で浮かび上がるアナウンサーの役割。

「想像以上に歌手の方々は私たちの言葉で気持ちを作られているのだと思った」

「ゲストの高橋みなみさんも、グループ卒業の際に出場した紅白の曲紹介で『たかみなさん卒業』という言葉を聞いてジーンと来たとおっしゃっていた」

曲紹介でどのように歌手の心に響かせてステージに送り出すか。その一言は、歌手だけでなく視聴者にも響くはずだ。番組の進行はアナウンサーのもっとも大切な仕事だが、それ以外にアナウンサーの「個性」が生かされる大きな仕事がある。

これは音楽番組に限った話ではない。スポーツ中継の実況の一言、報道番組におけるキャスターの一言、それぞれ話し手の個性からにじみ出る一言が、視聴者の心を動かす。そしてそれこそが伝え手としての醍醐味でもある。

歌番組で司会が果たす役割は思いのほか重要だ。NHKラジオ第2「アナウンサー百年百話」(水曜前10・30)の今月のテーマは「紅白歌合戦」。過去の紅白を振り返ると、秘められていた