先日、スポーツの現場で制作スタッフに、NHKのスポーツ中継からの撤退がすごくなっているという話を聞いた。ちょうどNHKがゴルフのPGAツアー放映を終了するというニュースが出た直後だ。彼らスポーツ系の制作会社にとっては、NHKでの仕事が当然少なくなり、会社としてもダメージだ。
NHKによると24年3月にはBSプレミアムを終了させ、これまであった3チャンネルを2チャンネルに減らすなどして放映コンテンツを順次整理していくという。すでに海外サッカーやNBA,NFLなどの放映も終了しており、PGAツアーに続いてテニスのATPマスターズの放映終了も発表されている。
もともとNHKでは経費削減を進めており、2021~23年度で総額700億円の削減が計画されている。そしてスポーツ放送権料などの絞り込みを進めるとも書かれていてその削減規模は150億円超と記されている。
「NHK経営計画(2021~2023 年度)」の修正について
制作会社は仕事の発注が減るが、アナウンサーという観点からみると、NHKの局アナでスポーツ実況を担当するアナウンサーは仕事が減る。彼らは当然社員なので、他のジャンルの仕事に回ることになるか、本当に技術の高いアナウンサーしか残らず今まで以上の過酷な競争になるだろう。さらに、これまでは事前取材も、民放の比にならないくらい時間と費用をかけて1試合の実況に臨める環境にあったが、もしかすると、それも削減されるかもしれない。
実は近年、NHKを退職するスポーツ系のアナウンサーが目に付く。もちろん一度路線を外れると二度と王道に戻れないのがNHKで、路線から外れてしまった人が退職する形もあるが、コンテンツの減少という部分を見るとそれだけではなさそうにも思える。
かつてならNHKに入れば、世界大会も含めどんなスポーツでも担当できるというのが、NHKのスポーツ実況の魅力のひとつだったが、時代は変化してきているというところか。