音声テスト

アナウンサー試験の1次面接ではほとんどの場合、面接に加え「原稿読み」も同時に行われます。これが1段階目での音声テストです。

原稿の種類は、①ニュース原稿 ②短い文章 の2つにだいたい分かれます。

①ニュース原稿では さらにいくつかのパターンに分かれます。

a.意味を理解していないと読みづらい(区切りづらい)もの

b.難しい音「サ行」や「ラ行」などが含まれているもの

c.難読漢字や地名、人名が含まれているもの

d.地元ニュース

②短い文章は 主に2通り。

a.難しい音「サ行」や「ラ行」「鼻濁音」「無声化」などが含まれているもの

b.難読漢字や地名、人名が含まれているもの

ニュースにしても、短文にしても、単に音声のチェックだけではなく、漢字の読みなど知識を試すものも兼ねているのが特徴です。

ニュース原稿については、プロらしく読めるに越したことはありませんが、正直そこまで「うまさ」は問うていません。「ラ行」や「サ行」といった音のチェックや滑舌、声の質、張り、元気の良さ、明るさ、etc. また文の意味を理解して読めているか、 致命的な発音はないかなどが主なチェック項目です。実際、どんなに容姿端麗でも、アナウンサーとしては厳しい声や治せない音などを持つ人もたまに見かけます。

うまさは不問と言っても、自分がどんな風に読んでいるか、どんな声を出しているかを試験前に客観的にチェックしておく必要はあるでしょう。 そのためにアナウンススクールやサークルなどでで、アナウンスの勉強をしておくことをお勧めします。そこで学ぶことで、面接で提示された文章が何をチェックするために書かれたものであるかが瞬時にわかります。

また「うまい読み」=「間違えず、とちらず、ニュースっぽく聞こえる」と勘違いしている人はいないでしょうか? 局アナになってから行うアナウンス研修では、「ニュースを読む」ではなく「ニュースを伝える」と言い換えなさいとよく言われます。 ニュースの中身を本当に理解していれば、たとえ原稿がなくても相手に説明が出来る=相手に伝えられるというわけです。

カメラテスト

カメラテストは、人数が絞られてきた2次面接以降で実施されます。テレビ映りや表情はもちろん、話し方、話の中身、話のセンスなどあらゆるものがチェックされます。

まずテレビ映りに関しては、実際、実物と画面越しで印象ががらっと変わる人もいます。いわゆるカメラ目線というのではなく、カメラの向こうに人(視聴者)がいてそこに語りかけるイメージ、またワンショットでないときは、自然体で話す姿が、いい感じに映っているかが重要です。時にカメラを見ようとすると睨んでしまうように見えたり、姿勢が悪く顔も下向きで印象が暗く見えてしまうなど、もったいない人も見受けられます。

話に集中すると、自分の姿勢や表情は、案外自分の想像と違うものです。例えば身振り手振りがすごく大げさだったり、猫背だったり、顎が上がっていたり・・。鏡やビデオカメラを使って気になるところはチェックしておきたいものです。それからスタジオに入るときの歩き方なども含めて、カメラで撮られていますので、歩き方も含めて気を付けておきたいものです。

テレビ映り以上に、重要なのはしゃべりの内容や話し方です。正直テレビ映りの際の癖などは、あとで修正できるものです。しゃべりのセンスは、これまで生きてきたすべてが出るといっても過言ではないので、アナウンサーとしての力量に直結します。

カメラを前にして(または放送を意識して)しっかりとしゃべることができるか、その話に知性教養当意即妙さ発想力などが備わっているか、そのうえで、話をしながらどんな表情で、見栄えで映っているかがチェックされます。

「原稿読み」と「フリートーク」

カメラテストはだいたい「原稿読み」と「フリートーク」が1セットです。「原稿読み」は前述した「ニュース」に加え「インフォメーション」的なものもあります。「フリートーク」は自己紹介、パネルトーク、かけあいetc、多種多様です。変り種としては、電話が置いてあって、そこにかかってきた社員扮する視聴者からの苦情に対応するというもの(KBC九州朝日放送)もありました。

フリートークで代表的なものは「パネルトーク」です。何種類かの写真を見せられ、その中の1枚を選び時間内に自由に話をするというものです。あらかじめパネルを見せてもらい考える時間がある場合もあれば、突然見せられる場合もあります。前者は構成力・発想力、後者は臨機応変さも求められます。

だいたいその年に有名になった人や出来事、大きな事件などが選ばれますが、果物や文房具など日常にある物のパネルが用意されることもあります。過去には自局のマスコットを使ってのフリートーク(仙台放送)というものもありました。

時間はだいたい1分が基本ですが、制限時間内にしゃべるのではなく、与えられた時間ジャストを目指します。あまりにだらだらと話してしまったり、短すぎるのも問題です。特に短めで終わってしまった場合、与えられた時間内は何でもいいので頑張ってつなぐ努力をしましょう。なぜなら、時間内に黙ること=放送事故になってしまうからです。

時間間隔は突然身につくものではありません。何度も練習して体に染み込ませることが必要です。このための練習もアナウンススクールなどでは行われます。

カメラテストの必要がないラジオ単営局では、番組を想定して音楽やメールを紹介しながらしゃべるというテストが行われたりもします。