やっぱり『元タレント』や『ミス〇〇大』でないとダメ?
弱気は最大の敵
この言葉、「炎のストッパー」と言われた元広島カープの投手、故・津田恒実さんが「座右の銘」にしていたことで知られています。高校時代、甲子園で決勝ホームランを打たれて、0-1と惜敗した津田投手。直球勝負をせず、かわそうとした変化球をホームランされたことを悔やんでの教訓だったそうです。
弱気になっても、いいことはないでしょう。自分の心の弱さが、最大の敵なのかもしれません。そう分かっていても、ふとしたことで不安にさいなまれ、「弱気の虫」が顔を出してくることは、皆さんも経験あると思います。
アナウンサー採用試験の時期が近づいてくると、生徒からの相談が増えるのですが、話を聞いていると「弱気の虫が顔を出しているかな?」と感じることも多くなります。
特にここ数年多いのが、「タレント活動をしていたり、『ミス〇〇大』にならないと、アナウンサーは無理なんですよね?」という質問。
どうしてそんなにキッパリと言い切れるのか分かりませんが、要は、「自分はタレント活動もしていないし、『ミス〇〇大』でもないからアナウンサーには向いていない。」と思い込んでしまっているのだと思います。
それって、「自己防御」?
以前、ある医師から伺った話です。
その先生は、プレッシャーのかかる場面での人間の心理状態について、こんな話をしてくれました。
「入学試験や、運動会の徒競走など、結果が求められる状況の時、まず最悪のパターンをイメージする人は結構います。そうすれば、好成績だったら「ラッキー!」と喜べますし、ダメだった場合でも「想定内」と思うことで、心理的ダメージを緩和出来る、と考えるのです。ある種の『自己防御』とも言えるかもしれません」
最初から、「(アナウンサー試験なんて)自分には絶対無理!」と思うことで、次に進めたら「やったぁ!」と素直に喜べますし、もしダメだったとしても、「やっぱりね。」と気持ち的に割り切れ、立ち直りも(幾分)早くなるのだとか。
まさに、「自己防御」なのかもしれませんが、その前提条件として、「アナウンサーは、自分には無理!」と思い込むための理由が必要になってきます。そんな心理から、「タレント活動や、『ミス〇〇大』の肩書きがないと、アナウンサーにはなれない。」という論理にたどり着くのではないでしょうか?
「採用試験がダメだった時に、心のダメージを和らげる。」 気持ちは分からないでもありませんが、「もう少し前向きになった方が良いのに…。」と思います。
「でも、実際『元タレント』や、『ミス〇〇大』が多いじゃないですか?!」という声
確かに、最近の新人アナウンサーは、学生時代からタレント活動をしていたり、『ミス(orミスター)〇〇大学』の経験がある人が多い印象はあります。それはどうしてか? 私なりに考えてみました。
タレント活動で、学生時代からテレビ番組やイベントなどに出ていた人や、『ミス(orミスター)〇〇コンテスト』を勝ち抜いた人は、それだけ場慣れしていると言えます。
アルバイトとはまた違った環境の中で、普段から周囲から見られたり、質問されることが当たり前になっていると、
本番の試験でもそれ程緊張せずに、自分自身を出しやすいでしょうね。
一方、いわゆる一般の学生は、ただでさえ緊張する本番の試験で勝手に自分自身にプレッシャーをかけてしまい、普段の実力からは程遠い状態で臨んでいる気がするのです。
こういうことは、面接の前、控え室で待っている時の態度にハッキリ現れます。自信が無いと、俯いていたり、暗い表情だったり…。
ダメだった時に、「心のダメージを和らげる」かもしれませんが、「落ちるのが前提」で臨んで来る学生は、それっぽい雰囲気を纏っている気がしてなりません。やはり、「弱気は最大の敵」なのです。
自信をもって…!
皆さんには、「元タレント」とか「ミス(orミスター)〇〇大」といった肩書きじゃなくても、自分なりに他人に言えるものを持っていて欲しいですね。
「私は、〇〇〇だったら他の人より詳しいと思います!」とか、「僕は、〇〇のことだったら、負けません!」といったもの。
何でもいいんです。他の人がどう思おうが、胸を張って言えれば…。
その自信が、あなた自身を変えていくはずです。
オマケの一言
確かに、最近の新人アナウンサーは、学生時代からタレント活動をしていたり、『ミス(orミスター)〇〇大学』の経験がある人が多い印象はあります。しかし、「そうでなければアナウンサーにはなれない!」というものではありません。私は、『ミス〇〇大学』の肩書きを持った生徒や、タレント活動をしていたという生徒が涙を呑む姿を何度も見ていますし、(『ミス〇〇大』や『元タレント』といった)対外的な肩書きを全く持っていなかった生徒が、現在、アナウンサーとして活躍する姿も見ています。
周囲を気にしすぎないこと!弱気は最大の敵ですよ!
文・TBS Voice
http://www.tbs.co.jp/anatsu/school/