「朗読」は、意外な練習法!?

先日、TBSアナウンサーの朗読会に出演しました。
普段、放送では視聴者やリスナーの皆さんに直接お届けすることはなかなかありませんが、
聞いてくださる人の顔が見える「朗読」は、「伝える相手を見ながら読む」ので、
「言葉で伝える」というアナウンサーの根幹にかかわる、とても大事なものです。

アナウンサーの採用試験に「朗読」は、ほとんど出てきませんが、「伝える」ことを職業にしようとしている皆さんには、(意外と?)オススメです。

ニュース原稿読みの「落とし穴」?

スクール生から、「原稿読みのアドバイスをして欲しい」と言われることがあります。
一見、やる気があるように感じますが、ニュース原稿を読むのに精一杯で、「中身を伝える」という基本が疎かになっていることがよくあります。
どういう点が気になるのかというと、
① 原稿を読みながら、(カメラを見るかのように)チラッチラッと顔を上げ下げする。
② とにかく、噛まないことを最優先する。
といった、映りや出来栄えを意識して、「伝える」ことを忘れてしまうことが目立つのです。
本番でこれだと、まずOUT!
スクールに通わず、自主練習をされている方は、カメラを意識した動きをしていないか?
噛まずに読み終えたことを満足していないか?チェックしてください。

「朗読」のいいところ

ニュース原稿を練習するのが悪いと言っているわけではありませんが、本を朗読することにチャレンジしてみてください。
注意すべきポイントは、「一人で読むのではなく、必ず誰かに読み聞かせる」こと!
ただ音読するのでは練習になりません。読み聞かせた相手が話を分かってくれることが大切なのです。
両親・きょうだい・祖父母・友人…。
相手に分かってもらうためには、自分が読む話の内容を理解するのはもちろん、滑舌、ボリューム、
そして、読むスピードや間(ま)など色々気を遣うはず。(カメラを意識することは、まずありませんよね?)
「原稿を伝える」ことの感覚が掴みやすくなると思います。

これだけは気を付けて!!

朗読の場合は、ニュース原稿読みにはない、「声のトーンを変える」「自分の感情を込める」
といった‟極端な強調“をすることがあります。
しかし、ニュース原稿読みでそんなことをしてはいけません。声のトーンはあくまでニュートラル。
ニュースは、アナウンサーが演出するものではなく、情報を正しく伝えることが大事ですから、
聞いている人に間違って伝わらないように留意する必要があります。
朗読練習は、「原稿を読んで伝える」ことの感覚を養う手段だと覚えてください。

文・アナウンススクール TBS Voice
http://www.tbs.co.jp/anatsu/school/