アナウンサー・インターンシップに参加できたら
場の空気に流されるな
厳しい書類・動画審査を通過して勝ち取ったインターン・セミナーへの切符。まず、参加できる、ということについては素直に自信と喜びを感じてほしいと思います。ただ、それも束の間…会場に入ると“選ばれし者が集まる独特な空間”に少し怖くなることでしょう。
ミスコン出場者、学生キャスター、タレント活動をしている子…良く言えば個性が強く、一歩間違えると我が強い、そんな人達が集まっています。私が参加した時は、白のノースリーブワンピースや、パーティーに行くかのような髪型と服装の人もいて、やや圧倒されたのを覚えています。最初はかなり心細いですが、そこにいるということは自分も選ばれし者の一人、場の空気に惑わされず、落ち着いて受講してください。
また、本採用の試験と比べて他の参加者と話したり情報共有できたりする時間が長いです。休憩時間に適度に声をかけてみるのもいいかもしれません。レベルの高いアナウンサー受験者と接することは、モチベーションが上がりプラスになります。
準備を怠らず本採用のつもりで
インターン・セミナーで行われることは、キー局・準キー局・地方局で多少違いがあるものの、おおむね同じです。社内やスタジオを見学、現役アナウンサーによる体験談や質疑応答、そしてニュース原稿読み・実況などの実技です。
実技については“上手”にやる必要はないものの、準備と心構えは必要でしょう。緊張と周りからの視線があるなか「声を出す」というのは想像以上に難しいものです。ただ、その“声の質”を採用担当者は聞いています。声が震えてしまったり、普段より高くなってしまったり、裏返ってしまったり、小さくなってしまったり…そういう状況をなるべくなくすために、原稿読みや実況の基礎を勉強しておくことをオススメします。スクールやサークルに所属していない場合は、テレビのニュースを少し意識しながら見て、真似てみるだけでも構いません。改めて、インターンは本採用以上に本採用であることを念頭に置きながら、できる限りの準備をしてください。
余談ですが、私がTBSのインターンに参加した時に、引率してくれていた採用担当者から、エレベーターのなかで突然「TBSのラジオの周波数は?」と聞かれました。もちろん、答えられなかったからといってマイナスにはなりませんが、「954です。」と即座に返答すると、そこから会話が弾んだり、良い印象を与えるかもしれません。正解不正解ということよりも、コミュニケーションをとる、という点で、何気ない会話もハキハキと話すことが大切でしょう。
上級セミナーと呼ばれる裏の採用試験
キー局では、上級セミナーが用意されています。これは、一般募集したインターン・セミナーに集まった人たちの中から、さらに選ばれし者だけが参加できるものです。インターン・セミナーが終わってから数日の間に個別に電話がかかってきます。そして、局によっては、上級セミナーののち、最上級、最最上級と続きます。もはやセミナーではなく、試験です。そこから内定(内々定)が出たという話も少なくありません。もちろん、これはキー局が中心で、準キー局・地方局は改めてきちんと採用試験を実施しているところが多いでしょうが…
進むにつれて、内容は一層試験らしくなっていきます。筆記試験があったり、メイクさんに化粧・ヘアーを整えてもらってからカメラテストがあったりと、本採用となんら変わりありません。人数も最終的には2~3人に絞られるそうです。残念ながら私はここまで進むことができませんでしたが、どんな内容だったのか、友人から話を聞き、その後のアナウンサー試験に活かすことができました。ちなみに、最初に送付したエントリーシートは、全面接官・担当者に配布され、それをもとに質問があり、最後まで自分をアピールする資料として残り続けていたそうです。(紙一枚が、いかに大切かがわかります。)
書類・動画審査突破に向けては、ある程度のコツとポイントがあるものの、上級セミナーに参加できるかについては、正直、確実な方法はありません。その年度の求める人材、運などもあると思います。一つ言えるとすれば、すべてにおいて手を抜かず、全力で取り組むしかないでしょう。
時代が進むにつれて変化が激しい就職活動事情ですが、アナウンサー試験においてはここ数年、ほとんど変わっていません。つまり、インターン・セミナーが重要な要素の一つであることも変わっていないでしょう。力を入れて、頑張ってください!
この記事を書いた人
まつり
甲信越の局でアナウンサーとして働いていたスポーツ女子アナ。
うどんをこよなく愛する麺好き女子。本気でアナウンサーになりたい皆さんを応援します!