「オレオレ…」はNG!

もちろん“詐欺”の話ではありません!

日本で開催されているラグビーワールドカップもいよいよ大詰め。(注:執筆時の段階です。)
学生時代の悪友にラグビー部員がいた縁で、国立競技場や秩父宮ラグビー場に行って観戦していた私としては、ラグビーで日本中がこんなに盛り上がっていることにビックリ!
“にわかファン”、大いに結構!ここからラグビー人気がもっと定着してくれれば、と思います。

ラグビーW杯を見て思うこと

ラグビーの話をしていると、よく出てくる言葉があります。それは、「One for All, All for One」という言葉。(ドラマ『ノーサイド・ゲーム』にも出てきたはずです。)
「一人はみんなのために、みんなは一つの目標(=勝利)のために」と訳します。
一人のスーパースターだけが目立つのではなく、みんなが主役。チームの勝利のためには、“縁の下の力持ち”も厭わない姿勢が大事だという言葉です。
そういえば、日本代表選手へのインタビューで、「今大会で一番印象的だったシーンは?」
という質問に、自分自身が関わっていないチームメイトのトライシーンを挙げた選手や、試合中の合間にドリンクを持って駆け寄ってくれた選手の名前を挙げた人がいました。
まさに「One for All, All for One」の精神が、全員に浸透していることの表れだと思いました。

ラグビーも、番組も、“ONE TEAM”!

テレビやラジオに出演する放送局のアナウンサーは、目立って見えがちですが、“会社員”であることに変わりはありません。
確かに、色々な有名人と一緒に仕事をする機会はあります。しかし、アナウンサーは“タレント”ではありません。一緒に仕事をすることはあっても、「友だち」のような感覚で接してはいけないのです。
アナウンサーは、番組において、「オレが!」「私が!」といったスタンドプレーではなく、一歩引いて周りを生かす「黒子」の様な役割が求められます。まさにラグビーの精神です。
今大会で決勝トーナメント進出を果たした日本代表は、“ONE TEAM”というキーワードを
盛んに口にしていました。
番組作りも同じです。出演者、制作スタッフ、技術・美術スタッフ…。
それぞれが結束し、自分たちの役割を果たして一つの番組が出来上がっていきます。
「人気番組」「長寿番組」と言われる番組ほど、スタッフと出演者のスクラムが強い気がします。
(あくまで個人の感想ですが…)

これを機にラグビーを見習って!

去年の採用試験の面接で、「自分の言葉で世の中を動かすアナウンサーになりたい」と主張する学生を何人か見かけました。一緒に面接を担当したバラエティ番組のプロデューサーは、「“世の中を動かしたい”とか言う人は、アナウンサーじゃなく、芸人やタレントを目指した方がいいんじゃないですかね?」と話していました。スクールのESの課題でも、似たようなフレーズを書いてくる生徒が少なくないことが気になります。
「自分が中心になって輝きたい!」という気持ちは、分からないでもありません。
しかし、そうではなく、みんなで作り上げる内のワンピースであるべきだということを、
ラグビーW杯の日本代表の快進撃から再認識しました。
アナウンサーを目指す皆さんには、是非参考にして欲しいです。

文・アナウンススクール TBS Voice
http://www.tbs.co.jp/anatsu/school/