魅力的な声を出そう!
「腹から声を出す」とは?
アナウンサーを目指す皆さんなら、自分の声を磨きたいという思いは強いはず。
放課後だより、第一回は、当スクールの生徒にも最初に指導する「発声法」のお話です。
まずは呼吸法。呼吸をするときに、肩や胸を上下させるやり方が胸式(きょうしき)呼吸。お腹が膨らんだり凹んだりするのが腹式(ふくしき)呼吸です。
豊かな声量、響きの良い声で話すのに適しているのは腹式呼吸。
蚊の鳴くような声を叱るときの「もっと腹から声を出せえ!」というセリフをどこかで聞いたことがあるでしょう?
もちろん、息は肺に入るのであって、胃腸に入るわけはありませんから、お腹から声を出すことはできません。
腹式呼吸では、肺を下の方向に大きく膨らませて空気を取り込みます。横隔膜が下がり、お腹が膨らみます。
そして腹筋でそのお腹を凹ませて肺の中の空気を上に押し出す。この腹筋の動きが、声のパワーの源です。
「腹から声を出す」=「腹筋の力で声を出す」ということなんですね。
身体を楽器にしよう
ヴァイオリンやギターなどの弦楽器を想像してください。
音を出すのは「弦」です。でも弦だけしか無かったら、弾いても小さな味気無い音しか出ません。
弦の振動が、木材などの「胴」に共鳴するから、あの豊かな良い音色になるのです。
声を出す、ということも同じです。
人は息で声帯を振動させて音にします。息は口や鼻から出ますが、同時に身体に共鳴させることによって、「響きの良い声」となります。その意味で、実は、声を出すということは全身運動なんです。
共鳴させたとき、一番大きく良い音で響いてくれるのはどこか? それは胴体です。
正しい訓練を受けていない人は、大きな声を出そうとしたときに、頭にキンキン響かせる甲高い声になりがちです。
でも、頭に響かせるより、体積の大きい胴体に響かせた方が大きな音になるんです。そして遠くに届きます。
また、胴体に声を共鳴させられる人の話し声は、その人の真後ろに立っても良く聞きとれます。胴体が「鳴って」いるわけですから。
マイクがあるから声は小さくても大丈夫?
アナウンサーはマイクを使う仕事だから、そんなに大きな声は必要ないんじゃないかって?
いえいえ、響きの良い声は、やはり「マイク乗り」も良くなるんですよ。
また、屋外でのリポートやインタビューのとき、アナウンサーの声が小さいと、その声をしっかり拾うためにマイクの収音レベルを上げなければならず、結果、周囲のノイズも大きく拾ってしまって聞きづらい放送になってしまうこともあります。
それに何といっても、声にボリュームがないと、ここぞという時に、興奮、驚き、感動などを声に乗せて豊かに表現するということがきません。
アナウンサーの命である「声」。その第一歩は、正しい呼吸法による、響きの豊かな発声にあるのです。
文・TBSアナウンススクール
http://www.tbsan.jp