フジテレビから岩手めんこいテレビ出向で異例のアナウンサー復帰
フジ→岩手めんこいテレビで異例のアナウンサー復帰 福永一茂アナ、“やっぱりしゃべりたい”仲間たちのためにも
ゆかりのない地へ出向も「感謝の気持ちしかない」
今月3日、岩手・盛岡競馬場で行われた重賞レース「JBCスプリント」で、5年5カ月ぶりに競馬の実況席へ復帰した福永一茂アナウンサー。6月までフジテレビで営業局員として勤務していたが、異例の出向で系列局・岩手めんこいテレビのアナウンサーとなり、BSフジでの中継によってこん身の実況を久々に全国の視聴者へ届けた。
念願のアナウンサー復帰がかない、忙しくも充実の日々を送っているという福永アナ。アナウンサーという夢をつかみながら、志半ばでやむなく離れることになった仲間たちのためにも、「必死にやっていきたいと思います」と覚悟を持って、日々仕事に臨んでいる――。
■久々のリポートに「懐かしさが大きかった」
2017年にフジテレビのアナウンス室から営業局に異動した福永アナ。それでも「やっぱりアナウンサーをやりたい」という思いから、人事局にアナウンサーへの復帰希望を出し続けていたという。
第一希望はフジのアナウンス室に戻ることだったが、アナウンサーマネジメントの実績がある関連会社の共同テレビや東京フイルム・メートへの所属、系列局への出向も選択肢として考えている旨を伝達。それを受けて手を挙げたのが、福永アナがスポーツ中継を担当していたときにスポーツマーケティングを担当し、営業局に異動したときに局長として上司だった齋藤秋水氏が社長を務める、岩手めんこいテレビだった。
縁もゆかりもない地へ出向となったものの、「やっぱりアナウンサーに復帰できるというのが一番でしたので、本当にうれしかったですね」と振り返る福永アナ。そして、「自分のわがままとも言える希望を受け止め、かなえてくださったフジテレビの方々。自分を受け入れてくださっためんこいテレビの皆さまには、本当に感謝の気持ちしかありません」と思いを語る。
復帰一発目の仕事は、高校野球・夏の甲子園の岩手県予選で、今年のドラフトでオリックスが3位指名した齋藤響介投手(盛岡中央高)が登板する試合のリポートだったが、「こうやってカメラの前でマイクを持ってしゃべってたな…という懐かしさが大きかったです」という心境になった。
スポーツ実況の復帰となったのは、レース状況をひたすらしゃべり続けるというハードな競馬中継。17年6月の安田記念から出番がなかった競馬の取材ノートを5年5カ月ぶりに取り出して臨んだが、「放送が始まる前のレースで練習して、『よし、ちゃんとやれるな』と思ったのですが、やっぱり本番の緊張感の中だと焦って、名前の読み間違いもしてしまいました。気持ちが入りすぎて、ちょっと空回りしちゃったのが反省点です(笑)」と、ほろ苦い復帰戦となった。
■営業局へ異動後も実況の準備を欠かさず
アナウンサーとして復帰するまで5年のブランクがあったが、営業局員として働く期間も、いつでも復帰できるように準備を欠かさなかった。
「家でテレビを見ながらですとか、野球場やサッカー場、競馬場に行ったときに、実戦の感覚を鈍らせないように実況の練習をしていました。『アナウンサーに戻りたい』と言っておきながら準備していないというのは、心構えとして違うと思いましたので」
営業での経験が、アナウンスに生きることもあったという。
「例えば出雲駅伝の中継で、スポンサー周りのことや、中継スタッフがやろうとしていることを調整して、それを成立させるコーディネーターのような役割をやっていたのですが、こんなにいろんなことが絡んでいろんなことが関係して、この大会が成立して放送できているんだというのを、改めて学ぶことができました。もちろん視聴者が喜ぶ実況というのは大前提なのですが、そこにプラスアルファして、大会や番組に関わる方が喜ぶ中継というのもできるアナウンサーになったのではないかと思います」と、アナウンサー一筋では得難いスキルも身につけることができたそうだ。