アナウンサーに求められる能力は?
フリーに転身する前は、仙台のテレビ局で5年間局アナを務めていました。採用試験の面接官を担当したこともあります。
今回は、私が感じたアナウンサーに求められる能力についてお話ししたいと思います。
宮城県出身。2013年に東日本放送にアナウンサーとして入社。報道から情報番組、スポーツ、深夜バラエティまで幅広く経験。5年勤めた後、ホリプロに所属。
現在は、日本テレビ系列「ZIP!」のレギュラーリポーターを務めている。宮崎瑠依と森遥香によるアナウンス講座、生徒募集中です!! 詳しくはこちら>>
華やかに見えるけど地道
一般的に、アナウンサーという職業は華やかに思われがちですが、実はそうとも限りません。画面に映った一瞬を切り取ればそう見えるかもしれませんが、カメラの前に立たない時は、意外と地味な作業が多いです。
例えば、バラエティの収録。楽しく笑っているだけのように見えて、収録までの準備期間は共演者のプロフィールを頭に入れたりブログを読んで近況を調べたり、過去の収録(同録)を見てイメージトレーニングします。映画のインタビューにしても、質問を考えるだけではなく、監督や出演者の過去の作品を観たり、中継リポートに至っては、カンペを見なくても喋れるように、大事なキーワードや情報は頭に叩き込みます。
スポーツ実況アナウンサーも、全試合をチェックして、スコアをつけたりオリジナルのデータをまとめたりと、しなければいけないことは山ほどあるのです。
よく言われる言葉が、「準備が9割」。アナウンサーとして120%のパフォーマンスが出来るかどうかは、どれだけ準備したかに実に比例します。
「地道に努力し続けられる」というのも、立派な適性だと思います。
瞬発力や対応力
どれだけ準備をしても、生放送も収録も何が起こるかわかりません。そんな時に必要になってくるのが、瞬発力と対応力です。
イメージしやすいのが、報道番組の速報ニュース。急に速報の原稿を読まなければいけないが、終了時間は決まっている。さて、落ち着いて初見の原稿を読んだ上で、どう尺調整をしようか。口を動かしながら頭もフル回転させます。
情報番組やバラエティもそうです。大体の台本はあっても台本通りの番組ではつまらないので、共演者のタレントさんによく無茶振りや台本にはない話を振られることもしばしばあります。せっかくお話を振ってもらったなら、盛り上がるように打ち返したいですよね。どう返すか、どう立ち回るか、瞬時に判断しなければなりません。
他にも、自分が進行を務める番組において、共演者が生放送で不適切な発言をしてしまう可能性もあります。そんな時に、どう上手くフォローするか、どんな声のトーンで訂正するか、冷静な正しい対応が求められます。
アナウンサー試験でも、この瞬発力や対応力が問われることが多いはずです。本番で取り繕っても、ボロが出てしまうと努力が水の泡になりかねません。私はスポーツの試合をテレビで消音にして「実況」練習をしたり、車窓から外の景色を実況したり、バラエティ番組などを見ながら自分なりのツッコミやフォローの練習をし、友人との会話ではツッコミに徹するように実践していました。頭の回転を早くする練習はいくらでもあると思うので、ぜひ意識してみてください。
素直さを大切に
アナウンサーとしても社会人としても大事なことは、「素直」であることです。
アナウンサーとしての「素直」とは、自分を飾らないことも時に必要という意味です。最近は様々なタイプのアナウンサーがいらっしゃいまして、アナウンス能力と同様に個性も求められるようになってきました。「アナウンサー」としての振る舞いだけではなく、その人自身としての感想やコメントも、番組のスパイスの一つになります。
試験においても、素直な感想やリアクションを大事にしてくださいね。
そしてもう一つ。社会人としての「素直」は、周りからのアドバイスや意見を聴けるかどうかを指します。決して自分の仕事に自己満足で向き合うのではなく、アナウンサーのパフォーマンスは周囲と一緒に作り上げるものだということを忘れないでください。
試験においても、素直な受験生に対しては好感を持ちますし、一緒に働きたいと思えます。
私自身も局アナを務めてから学んだこと、自分に足りないと感じたことはたくさんあります。ですがその中でも今回お話したようなことが、特に等身大の「学生」の皆さんに求められることなのかなと思います。自己PRを考える時の参考の一つになれば幸いです。
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