「浅いセンターのはるか頭上だ! はるか頭上だ! センター陽岱鋼、追いついたー。(沈黙)。ゲームセット。陽岱鋼が最後追いつきました」
9回裏 北海道日本ハムは2アウト2,3塁のピンチの場面。福岡ソフトバンク・江川の打ち上げた打球はセンターの後方を襲う。しかし、これを陽が懸命に追い掛け、何とか後ろ向きでキャッチし、ゲームセット!! 最後まで手に汗握る白熱のゲームとなった!! 2016/9/21 福岡ソフトバンクホークス 対 北海道日本ハムファイターズ
このシーズンは一時は、日本ハムに11.5ゲーム差をつけていたソフトバンク。
ところがこの9/21の時点で、ゲーム差なし。3厘差でソフトバンクがかろうじて首位で迎えた2連戦の初戦でした。
この試合でソフトバンクが勝てば、9/4に一度消えたマジックが再点灯する試合。
ソフトバンクは2試合のうち1勝すればマジック再点灯。逆に日本ハムは、初戦勝って、2戦目が引き分け以上だとマジック点灯。
その初戦を担当したのですが、最後は陽のファインプレーで幕を閉じ、この試合をきっかけに日本ハムが大逆転優勝を飾ることになりました。もちろん僕は江川選手が打った瞬間、これはサヨナラになると思って江川の大飛球を「センターのはるか頭上」と2回念を押すように言いました。工藤監督もサヨナラを確信してベンチを飛び出していたほどでした。しかし・・・
ちなみに陽岱鋼は、1か月前、右肋骨にひびが入り、以後もプレーを続けていましたが、直前3試合は痛みが悪化し欠場。この大一番で復帰し、7回に代打出場、その裏から中堅守備につき、そこでも今宮の左中間を襲う飛球をフェンスに激突しながらスーパーキャッチするシーンがあり、この日は陽のプレーがすべてでした。
陽選手のその時の記事を見ると
勝負をかけた背走で、チームを救った。日本ハム陽岱鋼がスーパープレーの連続で、大きな白星をたぐり寄せた。9回2死二、三塁。外野陣は極端な前進守備を敷いていた。江川の打球は中堅後方を襲った。「最初から(打球から)目を切って走った」。イチかバチかの全力疾走でフェンス際までたどり着き、見上げて打球を探した。「1回、見えなかったけど、打球がスライスして落ちてきた」
この時は、ソフトバンクのホーム目線で実況していますが、実況の中に書いた(沈黙)は完全に言葉を失っていました。ちょうど工藤監督の表情も写りましたが、同じ思いだったと思います。
実況的にはあんなにサヨナラ風にあおったのに結局アウトで、判断ミスかなとも思ったのですが、陽選手のコメントにあるように「イチかバチか」のプレーで追いついたという点では、間違っていなかったのかなとほっとしています。